特例適用混和の申告制度

HOME » 特例適用混和の申告制度

毎年7月頃になると料飲店のメニューなどに「自家製梅酒」を見かけることがあります。

酒税法では酒類に他の物品を混和する(お酒に果実等を漬け込む事も混和です。)場合には、原則として新たな酒類を製造したとみなされ製造免許が必要になります。

ただし、消費者自ら又は酒場、料理店等が消費者の求めに応じて消費の直前に混和する場合(例えば、居酒屋でサワーやバーでカクテルを提供することです。)や消費者が自ら消費するために混和する場合は例外的に製造行為としないこと、とされています。

つまり、旅館や料飲店で予めお酒に果実等を漬け込んでおいて、お客様に提供する行為は酒税法違反となるのですが、平成20年4月30日から『酒場、料理店等を営む方については、一定の要件の下に酒類の製造免許を受けることなく、その営業場において自家製梅酒等を提供することができる。』特例措置が設けられました。

⑴特例措置の適用を受けることができる方

「酒場、料理店等酒類を専ら自己の営業場において飲用に供する業」を営んでいる方。

※酒場、料理店のほか、例えば、民宿、旅館、飲食店等が含まれます。

⑵特例措置の適用要件

1.酒場、料理店等の自己の営業場において飲用に供することを目的とすること。
※例えば、テイクアウトやお土産としての販売及び贈答並びに混和した営業場以外で飲用に供することはできません(自己のA店で混和したお酒を自己のB店で提供すること)。

2.飲用に供する営業場内において混和を行うこと。
※旅館や料理店の経営者等(従業員を含む)の自宅等の営業場以外の場所で混和したお酒は特例の対象となりません。

3.一定の蒸留酒類とその他の物品の混和であること。

⑶混和に使用できる酒類

混和に使用できるお酒(ベースとなるお酒)は、蒸留酒類でアルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものです(一般的には、酒類製造者や酒類販売業免許者から仕入れたお酒には酒税が課税されています。)。

よって、清酒(日本酒)や果実酒(ワイン)などの醸造酒は使用できません重要

【蒸留酒類とは】

使用するお酒のラベルには必ず品目が表示されていますので、次の品目が蒸留酒類となりますのでラベルを必ず確認してください。

連続式又は単式蒸留しょうちゅう、ウィスキー、ブランデー、スピリッツ又は原料用アルコール

⑷混和に使用できる物品

混和に使用できる物品は、糖類や梅のほか次の「使用が禁止される物品」以外のものです。

【使用が禁止される物品】

・米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ

ぶどう(やまぶどうを含む)

・アミノ酸若しくはその他の塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類かす

・酒類

⑸混和に当たって必要な申告

新たに混和しようとする場合には、混和を開始する日の前日までに営業場の所在地を所轄する税務署長に対して「特例適用混和の開始申告書」を提出する必要があります。

※当申告書には混和の方法(レシピ)を記載しなければならないため、申告書を作成する前にベースとなるお酒、混和する物品及び使用量を整理(確認)する必要があります。

⑹年間の混和に使用できる酒類の数量の上限と混和に関する記帳

当特例は営業場ごとに年間(4月1日から3月31日まで)に混和できる蒸留酒類の数量が1㎘以内との制限があります。

また、営業場ごとに混和に使用した蒸留酒類の数量を月ごとに記帳する義務があります。

⑺まとめ(注意事項)

料理店等でオリジナルのお酒があると強味にもなりますので、当特例はとても良い制度と思いますが、申告せずに混和した場合又は混和に使用できないお酒や物品で混和した場合お客様に提供していなくても、酒税法の罰則規定に該当します。

例えば、果実酒(ワイン)に果実を混和(漬け込む)した「サングリア」というカクテルは、果実酒が蒸留酒に該当しないため、当特例は適用できません。

なお、こちらの注意事項は、消費者の自ら消費する混和についても同様です。

また、当特例を適用したお酒は酒税法のリキュールに該当します。

酒ビジネスは「税・法・販売の三刀流」の
リカーストーリーにお任せください